掲載機の概要と製作雑記 




米国陸軍機
ノースアメリカン P51K型 “ムスタング”



データ

エンジン パッカード・マーリン V-1650-7型

離昇出力 1,490馬力 ×1

最大速度/高度 704Km/7,610m

航続距離/時速 3,700Km/405Km

乗  員 1 名
ハセガワ社製 1/48



     制 作 雑 記  <プロローグ>
平成13年8月初旬

 先日、友人の勤めている会社が引っ越したので、一度挨拶も兼ねてと訪ねることにした。昔大学だった跡地が今やオフィスビルである。いい所だ。



 たまたまゴールデンウィークの谷間の平日だったので、町そのものも何となく気だるくのんびりしている。ふと30年位前を思い出す。



 何となくその頃に少し似た雰囲気を風が通り過ぎ際に残していったような。それは小生が慣れ親しんだ町故か、それともそんな風景が恋しいのか?



 などと、思いながら友人と会い杯を傾けた。結局、小父さんとはノスタルジーと呑むこと位しか考えないどうしようもない生き物なのか??



 そんなことでいいシーズン真っ盛り、あんまり憂鬱なことを言いたくないが、直、梅雨になるのでこの時期を大事にしよう。さて今回は、どういうことになっているのか………?



 え〜〜、今回はノースアメリカンP51K型“ムスタング”それでは粛々と始めよう。例によってまずはアイテムの紹介から、ま〜ぁこれもあまりに有名過ぎていまさら「何をか言わんや」である。



 モデラー諸氏は自分の集めた資料を本棚から適当に引っ張りだして、勝手にしていて下さい。それでは独り言を始めます。米国陸軍の一人乗り低翼・単葉戦闘機だ。



 では“ムスタング”の意味から行こう。直訳すると“じゃじゃ馬”、それじゃ〜“じゃじゃ馬”とは何か?それは、言う事を聞かないカウボーイ泣かせの暴れ馬のこと。それが転じて、わがままで扱いにくい人。特に、利かん気のおてんば娘。



 これを聞いて小生の世代が思い出すのは“じゃじゃ馬億万長者”である。他愛ないドタバタ喜劇だったが、ドラマとは言え、やたら威勢のいいお婆ちゃんがバン・バン鉄砲撃っちゃう。



 ちょっと危険なドラマだった。それと“アニーよ銃を取れ”これも威勢のいい姉さんが、バン・バン鉄砲撃っちゃうのだ。小生子供心に、海の向こうの女の人たちとは一緒に住めないなと思ったものだ(今は国内も住み難くなった)。



 要するにここで言う“じゃじゃ馬”とは、やたら威勢のいい利かん気のおてんば娘・女性を意味しているが、このP51という娘はそれに賢さと冷たさを兼ね備えた感がある。それも、匕首のような鋭さがある。冷静で賢くしかも威勢のいい美形過ぎる娘だ。



 そ〜う!!ちょっと昔の映画だが「氷の微笑」に出て来る主人公の女性見たいな人が、あなたの隣であなたの顔をじ〜と覗き込んでいたらどうする??しかもそれが電車の中だったら??



 小生ならそ〜と席を立ち、次の駅で静かに降りる。そして、ドアが閉まるのを確認し、やおら額の汗を拭う。おそらく、昭和19〜20年敗戦のその日まで、このP51“ムスタング”に対し、もはや、疲れ果て如何なる戦いの術も持たない旧帝国陸海軍パイロットと将兵たちも、小生と同じ心境ではなかったかと想像する。



 スティーブンスピルバーグ監督の映画「太陽の帝国」に登場する主人公の少年が、悠然と低空飛行するP51を始めて見たとき「キャディラック!!」と叫ぶか、呟くかのシーンがある。確か、その少年は零戦が好きだったかと記憶している。これ以上のことは映画を見るなりしてご確認頂きたい。



 しかし、スピルバーグ監督という人は子供を使った映画が上手である。話を戻してP51“ムスタング”、とにかく凄いに尽きる。



 性能・フォルム、先進性、何を取っても非の打ち所のないレシプロ機、最終最後にして最も美しく洗練完成された機体だ。どれだけの賛辞を言っても言い尽くせない。



 そこで簡単で申し訳ないが、彼女の半生とも言うべきドラマを小生なりに振り返って見ることにする。



 彼女は生立ちから順風満帆の優良児でなく、むしろ時代と多くの人々に翻弄されつつ、世間の水に磨かれて大きく花咲いたと言うべきだろう。



 話は、彼女が昭和15(西暦1940)年秋、カリフォルニアの青く澄んだ空に(塔Aルバート・ハモンドの歌声が聞こえる♪♪)舞い上がったことから始まる。



 当時航空機メーカーとしては、駆け出しの殆ど無名に近いノースアメリカンなる会社で、しかも僅か120日足らずの急造ながら、神は彼女に数々の試練と才能を細く繊細な体に吹き込んだ。




 まず、その類稀なる才能(航続性能)に着目したのは、米国から見て祖母とも言うべき英国であった。



 当時英国は、バトル・オブ・ブリテンを何とか凌ぎ、大陸反攻への足掛かりを必要としていたのだが、英国のスピットファィアも独国のメッサーシュミットBf109同様、航続距離が大きな問題であった。攻守所を変えてと言うべきか?




 そんな時、実の父である米国で、殆ど顧みられることのなかった才能あふれる娘に巡り逢う。それは将に、歴史的巡り逢いにひとしい偶然だったのだ。



 彼女は祖母に連れられ祖国を後に英国はリバプールに到着、すぐさま英国流の装備を施された。本来の華々しい戦闘機デビューではなく、祖母の発した命令は、その才能を活かした蘭仏海岸線の写真偵察や陸上攻撃などである。ま〜ぁそれにはそれなりの訳があった。



 彼女の低空域での素早さは英国軍関係者を驚かすに十分であり、草原を疾走する“羚羊”のごとき俊足は、目を見張るものだった。



 反面、高高度での性能は中低域に比べ、話にならないもので、その最大の理由は例のアリソン1710系エンジンにあり、一概に彼女の責任とするのも酷な話である。



 昭和10〜15年当時(西暦1935〜1940)、主な戦闘空域は中低域であり、高高度を意識するようになったのは、バトル・オブ・ブリテン以降といわれている。



 ともあれ英国名“ムスタングT”は、その幼少時代を祖母の助けを借りて歩み始めたのだ。




 そもそも参戦に無関心だった米国であったが、英国及び連合国の惨状は自由主義圏崩壊につながり兼ねないと懸念を覚え、一方アジア太平洋地域での日本の中国に対する戦争行為で日米関係は険悪さを深めた。



 やがて戦争はヨーロッパに留まらず、日本側の一方的な戦争行為(仏領インドシナへの侵攻)からアジア太平洋地域に拡大波及して行った。



 既に時間の問題と言われていた日米関係は、日本の真珠湾攻撃により本格戦争の状態となり、枢軸国に対し宣戦を布告、全連合国の旗手として、また、武器生産援助国として自国の武器を再点検したのである。



 P39・P40の姉たちの陰で翳んでいたこの哀しくも可憐で夢多き娘(シンデレラというべきか)に改めて気づくとともに、祖母の英国が命名した呼び名“ムスタング”を踏襲、祖国米国で遅まきながらのデビューとなった。



 しかし、ここでも彼女は華々しい戦闘機としてではなく、祖母の英国同様、写真偵察機のデビューなのだ。そして父はその娘に新たな攻撃機A36という急降下爆撃機としての任を課した。



 それは、米国陸軍が急降下爆撃機を保有していないことがそもそもの発端で、九九式艦爆のページでも書いたが、各国各様の急降下爆撃機を保有する中、米国における急降下爆撃機といえばSBD−3ドーントレス爆撃機であった。



 米国海軍開発のこの機体を後に陸軍は70〜80機程度購入し、実際使用した経緯がある。そういう訳で、陸軍も本格的な急降下爆撃機を開発運用したいと思うようになり、スリムで俊敏な、生まれて間もない“ムスタング”にその白羽の矢が当ったのだった。




 そして、不遇な少女時代を北アフリカ・地中海で過ごし、逆境にもよく耐えたが、流石に急降下爆撃機は損耗が激しく、その美しくも可憐な姿と自らの悲運の叫びをイタリアの青く澄んだ空に響かせながら哀しくも消えていったのだ。



 さて不遇の少女“ムスタング”のその後の人生は、祖母の心は……………、もっと書きたいが後は資料が沢山出版されているので、書店に足を運ばれいろいろ探されるのも面白いと思うよ。





才色兼備、明眸皓歯
   



 それでは改めて、モデラーの皆さんと再び進めて行こう。まずはキットの経歴から、はい!!今まで一回も作ったことがありません!!本当かな〜と記憶を辿ってみたが、やっぱり作っていないのだ。


 多分、零戦52型のページでも書いたが、やたら有名なキットは敬遠してしまう。誰かに「何だ!今更ムスタングなんか買ってトウシロかよ、あいつ!!」などと、陰口を言われているようで、気の小さい小生はついつい気後れしてしまいチャンスを逃してしまう。



 もう一つ、何となくなんだけどフォルムが綺麗過ぎる。格好良すぎる。それも一因だと思う。



 しかしというか、とうとうというか、ハセガワさんの1/48を作ってしまった。理由はかつて、小生、シルバーシンドロームにかかってしまい、銀色塗装に嫌悪感を抱いてしまったからだ。



 それではいけない何とかしようと、毎日念仏のように(ちょっとおおげさ)唱え、遂に病魔と戦うべく決起したのだ。日々病魔と一進一退の戦いを繰り返しつつ、お陰で何とか病魔に打ち勝つことができました。完治!!完治!!



 さてさて、アジア太平洋戦域で使用された型式は、B・C・D・K型の4種類。そして今回制作したのはその内のK型なのだ。だいぶ口上が長くなったのでさ〜ぁ始めよう!!








  次項に続く→



   



  
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